(*※松島れたあテレパネ版)「日本に中小企業は必要だ」ー007最低賃金について

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それでは、パネラーの皆さんと議論を深めていきたいと思います。
確かに日本の中小企業の役割は重要であるとの意見が多いのは事実ですね。
 
さて前にも申し上げましたが、アトキンソンさんを欠席裁判するのが、このテレパネの本旨ではありません。彼の提起をどう受け止めるかです。
 
まず、アトキンソンさんの認識、人口が減るのですから、日本のGDPは低下する、特に中小企業では、生産性の向上が重要、そのために、デジタル化に取り組みことが必要だ、は、おそらく皆さんも、異論がないとます。
問題はその対応として、最低賃金を上げるべきだ、それができない中小企業は退出すべきだ、という主張には、多くの方が、賛成しかねると述べていることです。
 
すでに、政府の中小企業のIT導入補助金では、
https://seisansei.smrj.go.jp/pdf/0103.pdf
『事業計画期間において、「給与支給総額が年率平均1.5%以上向上」、「事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上」を満たすこと等を申請要件(一部事業者は加点要件)とします。』
のように、最低賃金の向上を条件として、中小企業の最低賃金アップを条件にしているように、大企業だけでなく中小企業にも、賃金アップを促してきました。
 
アトキンソンさんは、時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい、とかなりオーバーな表現ではありますが、
https://toyokeizai.net/articles/-/289988?page=4
賃金をあげたらコスト高になり利益を減らすだけだ、というのは、「売り上げを増やすことができない」、といっているのであって、そもそも売り上げを増やすために、経営者は、最先端技術を使ったり、輸出を考えたり、新商品の開発をしたりと、売り上げを増やす方法はいくらでもあり、多くの経営者はそうやって生産性を伸ばしてきた
と述べ、政府の施策と歩調を合わせているようにも見えます。
このような政府の要請に対して、日本商工会議所は、2019年5月28日、「最低賃金に関する緊急要望および最低賃金引上げの影響に関する調査結果について」
https://www.jcci.or.jp/news/2019/0528130000.html
において、
①足元の景況感や経済情勢、中小企業の経営実態を考慮することなく、政府が3%を更に上回る引上げ目標を新たに設定することには強く反対する。
と強く反対を表明しています。
 
岡田さんも、先回、売り上げ増がないのに、つまり支払い余力がないのに、賃金だけをあげるのは、無理だと述べました。岡田さん、最低賃金に関するご意見を改めて、お話し願います。
 
岡田さん:中小企業に、最低賃金のアップ、賃上げ要請がなされていますが、中小企業、とりわけ小規模企業・小企業に要請することでは、経済再興に向けた問題解消にはならない。というよりも、事実上不可能な要請に思えます。
賃上げ要請に対応するためには、そもそも売上増加、利益増加を前提としなければならず、小規模企業、小企業の年商規模を考えれば、大企業に賃上げ要請をすることとは、全く次元の違う話です。
賃上げは結果であって、売上増、利益増、顧客増の3増を実現することが重要です。中小企業でこの3増をどう実現するかは、経営者の双肩にかかっています。中小企業経営者の考え方、工夫の仕方、取り組み方などなど、百社百様ですが、経営者が気づきをもち、やる気をもって取り組んでいくということが最大のポイントとなることに間違いはありません。
 
さて、パネラーの皆さんは、いかがお考えでしょうか。。。
 
田中さん:岡田先生のご発言のように、賃上げの前に売上の増加がなければ経営者の方が追い込まれるだけになってしまいます。賃上げしたけれど、利益が極端に減った、経営がより厳しくなった、ということでは意味がありません。
いずれにしろ、売上を上げる必要がある。ではどうするかです。単純に言えば、売上=単価×数量ですから、単価を上げるか、数量を増やすことです。よく最初に考えられるのは後者です。
数量を増やすために、①既存顧客の取引量を増やす、②新規顧客を増やす。既存顧客を深掘りする方が新規顧客を開拓するよりコストが低いことが知られています。③④の企業ではリソースの制約も大きいですから、まずは既存顧客の深掘りが優先されると思います。
しかし、数量を追うあまり、質の低下を招き、自社の強みや価値を喪失、低減させてはいけません。
 
高島さん:賃上げって、なぜ必要なのでしょうか。
最低賃金の値上げで、最低賃金引上げが雇用を4.8%減少させ、時に非若年層の1.2%の雇用を減少させる、というデータも出ています。
それぞれ企業が売上増、利益増の結果として、ときには、従業員満足をより高めるために、利益増に向けて戦略展開すると考えるということには異論ありません。
社会構造的に、サプライチェーンの中で、下請けいじめ的な構造は、別途論議することは大切かと思いますが。
 
ご発言、ありがとうございます
伺っていて、最低賃金アップの賛成論も反対論も、実は同じ主張をしているように感じてきました。
賃金アップが結果か原因となるかについては主張が異なりますが、経営者がいかにして売り上げ増大に努力するかは、共通の課題となっています。
そこにデジタル化、新技術の導入、支援者の役割があるということも、同意いただけると思います。
しかし、簡単でないのは、いわゆる地域の小規模企業のように、簡単でないケース、そして、売り上げを増やす、とりわけ単価をあげるといっても、取引先、相手がある下請け企業の場合です。社会構造的に、サプライチェーンにおいて、中小企業に不利になりがちな日本の取引慣行の見直しが急務と感じます。
 
聴講の皆さんから、貴重なご意見をお願いします。
この小規模企業の課題につきましては、改めて、次に取り上げたいと思います。