(*※松島れたあテレパネ版)「日本に中小企業は必要だ」ー010 終わりに、

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このテレパネル、今回で最後になります。2週間お付き合いいただきありがとうございました。オンラインかつメール中心の議論は進行が難しいと痛感しました。しかし、この経験はきっとアフターコロナに役立つと思います。
 
これまでの議論では、中小企業は多様であって、一括りに、再編を、安易に決めつけるのではなく、サプライチェーンでのサポイン的な役割、雇用、街づくりなど幅広い視点で、議論を深めていく必要があると感じました。
 
最後ですが、まず、これまでも多くのご意見をいただきましたが、聴講の皆さんから、まだまだ言い足りないと思いますので、お聞かせください。
 
Tさん:
大手発注企業が予算が足りなくなったら平気で発注を止めるのに、新型コロナウイルスというのこの非常事態に、予算消化のためか、平時同様の納期厳守を求めてきます。そのため、急ぎ、作らないといけないので、現場は時差出勤も、在宅勤務もできず、全員総出で納期・品質を守るべく作業をしています。中小企業がテレワークを導入できないのは、こういう大企業の身勝手があることを知ってほしいです
 
Sさん:
中小企業を専門家が支援しているといいますが、不必要な場面にも支援者を介在させているという面もあります。例えば、今般の東京都のコロナ休業要請への企業向け補助金申請には、中小企業診断士・税理士等あるいは青色申告会の書面確認が強く要請されています。この非常事態にあって、わずらわしい書類の作成のために、専門家の支援が必要ということ自体、問題です。もっと簡素にしてほしいと思っているのです。
おそらくは、いい加減な申請を中間で排除することで、事務の軽減を図っているのかもしれませんが、それこそ小規模企業にとってムダな時間です。支援者への「特需」になってはいけないと思うのです。
 
Kさん:
この非常時、ルーティンワークが出来ないからこそ、厳しい環境に耐えうる強靭な体質を構築する事が、今後の成長につながる重要なポイントとなります。そんな余裕がない、ではなく「どうすれば固定費を削減できるか、を考えるいいチャンスです。
まずは、最も大事な「人」がこの事態に見合った状態かどうかです、最も、ダメなのはどこか、そこから機械化に取り組むべきです。
ITを、闇雲に導入すれば、多大な固定費を招くだけです。会社にとって最悪な事態でも耐えうる体質への施策を考える、会社の弱点が最も見えやすい最高なタイミングでもあります。
改革チームを立ち上げ、どうやったら培養できるか考えるチャンスです。
 
Iさん:
頑張る経営者には、支援したくなります。補助金・助成金は、もともと税金であり、無駄・無用に実施してはいけないのは当然です。監査以前に、虚偽や流用、消滅する企業に補助金を投入するのは無駄です。しかし、企業が消滅・破綻するかを見極め、支援によって活性化できるかどうかを見極めることは非常に難しいです。
 
Jさん:
昨日、面談した中小企業の経営者は、80歳の高齢ですが頑張っていました。製造販売の50年事業を継続しています。世界にもない方式の製造機の試作に挑戦中でした。
ハード主体の機器からソフト内蔵・クラウドに発展しているため、ソフト開発ベンダーの費用負担が大きいなど課題もあるようです。
補助金の有効活用、企業連携、IT活用、経営計画などへの取組みなど課題も山積している様でした。
新技術を使っての新製品開発への取組みに苦労されています。
社長は、今は新製品の試作に頭が一杯で、余裕がなさそうです。どのように支援をしたらよいか、悩んでいます。
 
最後に、パネラーの皆さんから、一言づついただきたいと思います。
 
岡田さん:
「中小企業は必要か?」という問いに対して、必要性は当然あるとして、その中小企業が生き残り、成長発展をしていくためのIT活用を如何に展開するかを示すことが、ここで求められる答えだと思います。
IT活用の普及拡大について、IT基本法の施行以来、いろいろな取り組みがなされてきたわけですが、まだまだだというのが、実態だと思います。
この背景を考えるとき、A.マーシャルによる生態系的アプローチ,「森の比喩」が中小企業残存の根拠となっていることを思い起こします。森にはさまざまな樹木があり、決して画一の樹木だけで森が成り立っているわけではない。
企業社会も、さまざまな企業が存在しており、独占的な力を持った大企業だけが存在するのではなく、さまざまな企業の存在、新たに生まれるもの、成長するもの、安定するもの、衰退するもの、消滅するものなどが循環して新陳代謝がなされ、活力を生み出しています。
2014年に小規模企業振興基本法が施行されたとき、地域需要志向型企業と広域需要志向型企業とに分け、「成長型」と「維持・充実型」を調べた結果、小規模企業では「維持・充実型」企業が多数を占め、必ずしも大きな成長を目指しているわけではないことがわかりました。小規模企業も「森の比喩」でとらえれば、企業社会において重要な存在であり、社会活力の源泉となっています。
しかし、IT活用に関しては、大きな成長を求めない多くの企業にとっては、重荷であり、新たな投資の必要性が低くならざるを得ません。「IT投資せよ」「IT関連の補助金があるから申請せよ」とはならないのです。集中的にIT活用の支援資源を投入していくことが必要だと思います。
それぞれの地域においては、地域中核企業が、支援団体、行政などと連携し、それぞれ工夫をこらした推進策を展開することが必要であり、かつ効果的と思います。
中小企業共通EDIなど、点を繋ぎ、線として、さらに面として、ネットワーク的支援展開を拡充することが、普及につながると確信します。
 
高島さん:
経営環境の変化を理解し、自社の状況と照合して、明日に向かって、着実に実践して成果を上げ続ける中小企業・小規模企業を増やしていくことが重要です。
特に小規模事業者の減少はやむを得ないかと思いますが、傍観するのではなく、「どうすればよいかを考えたいが、どう考えればよいかがわからず、結果として何も手を打たずに消えていく事業者」をいかに減らしていくかだと思います。
事業計画を策定している事業者は、様々な補助事業の採択件数等をみても、法人化されている約160万社の10%にも満たないのです。この割合を5%でも10%でも増やしていきませんか。
商工会・商工会議所が取り組む「経営発達支援計画」の実施をより強化することも大切です。
当面の費用対効果は無視したいです。この支援には、かなりの費用が掛かるかと思いますので、受益者にも負担してもらいます。しかし、まずは、私たち支援者一人ひとりが、このような経営者を支援し、1社でも多くの事業者に「新たな価値を生み出す中小企業、地域で価値を生み出す小規模事業者」になっていただけるよう、ねばり強く支援していくことが肝要と思います。
 
田中さん:
今の私たちの生活を支えているものは何でしょうか。どのようなハード、ソフトウェア、インフラ、個々の技術、ノウハウがあり、これらを提供しているのはどんな人、企業で、彼らはいつ、何をどのように捉え、考えて今のその製品/サービス、ビジネスを生み出してきたのでしょうか?
今現在、まだ当たり前になっていないものが、アフターコロナでは、当たり前になっていくと思います。
外部環境を捉えるフレームワークとしてPEST(ペスト)「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」という手法があります。中小企業の顧客の向こうにあるもの、その周囲にあるもの、企業活動、今後のビジネスを展望するうえで、目を向けたいのはS(社会)とT(技術)です。
アフター・コロナを考えるには、どんな人の、どんな役に立ちたいか、こうしたい!こうあって欲しい!だからこうする!という強い想いが不可欠です。受け身ではなく、自主自律の精神で主体的にニュー・ノーマルを創れる力が日本の企業には本来あると思います。
今の米国のような社会であって欲しいと思っているのか。日本は課題先進国であるからこそ、課題解決先進国になることで世界をリードすることもできるはずです。
企業とは、ビジネスとは、組織とは、仕事とは、お金とは、人間とは、幸福とは何か。本質的な価値と本気が益々問われることになると思います。
企業では第二創業とも言える、事業や企業の再定義が必要になるでしょう。
 
皆さんありがとうございます。
私たちも、クラウド活用による、中小企業の強靭化に取り組んでいきたいと思います。引き続き義支援のほど、お願いいたします。
 
「2020中小企業白書・小規模企業白書の概要」参照